2010年05月07日

Team CRC Japan2010レポート(7)

ミスターCRC、ヤッキーさんから今年1本目のレポートが届きました

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皆さんこんにちは、Team CRC Japanメンバーのヤッキーです。

今年初のレポートになりますが、今回は群馬のクレストスピードウエイさんでおこなわれた4/25開催CRCカップと翌週に開催されたクレストシリーズ戦に参戦したときのXL用プロトパーツやクルマのセットアップに関するレポートをします。


まずその前に、これまで私たちがやってきたプロセスを紹介します。

(今回のレポートは長くなりますので2回に分けてお伝えしますご了承願います)

レポートその①

XLが発売され半年経ちますが、私のホームコースであるシルバーストーンさんでは満足のいくセットが見つからないままでした。

そこで、前作Gen-Xから最新XLへの変更点から何か原因がないのか検証してみました。シャーシはあまり変わってないよう見えますがXとXLでは

①ホイルベース2mmロング
②アンテナポスト6.35mm後ろに
③サイドリンクが10mmロング
④専用左バルク
⑤ダイヤフラム式センターショック
⑥他に大きな違いはバッテリーがニッケル水素4セルから1セルリポになり、車重が約150gも軽くなりました。 

以上の変更点で最初に注目したのが⑥です。バッテリーが軽くなった事により前後の重量バランスが前寄りになりFタイヤへの荷重が大きくなる点でした

これによりシルバーストーンさんのようなハイグリップ路面だとザクリやハイサイドの原因になります。
この対策として、メカをなるべく後ろに搭載しウエイトもボトムプレートに載せて4セル時と同じ前後バランスにしました。

 

(画像は昨年11月に撮影したものです)

この改良によりシビアな動きは改善されました。しかし、路面が上がると4セルカーよりハイサイドしやすくなり、ハイサイドしないセットにするとラップが上がらなくなりレースでは満足いく走りが出来ませんでした。

それから数ヶ月間、試行錯誤し皆さんからのアドバイス受けタイヤを含めあらゆるセットをテストしやっと一つの答えが出ました。

車重が軽くなりコーナリングスピードが格段に速くなったのは皆さん感じたと思いますが、軽くなった車重は搭載されているバッテリーが軽くなったからです。
今更何を?と言われそうですが、1/12の場合メインシャーシとリヤセクションが別々にロールするのはご存じかと思いますが、リヤセクションは4セルカーと同じ物が載っていてリヤセクションだけを見ると重量は変わってないんです。

コーナーリングスピードが上がった分、このリヤセクションへ今迄以上に負担が掛っている訳です。

話は少し戻りますが、何故ハイグリップ路面(シルバーストーン)でハイサイドしやすいかそれは、リヤグリップ不足なんです。RタイヤがFタイヤのグリップ力に負けてリヤがスライドして引っかかりハイサイドするのです。

ならば、Fタイヤのグリップを落とせば良いのでしょう。しかしそうするとコーナーリングスピードが落ちラップは上がりません。
これで答えは出ました。

リヤグリップをもっと上げれば良いのです。そこで普段使ってたRタイヤよりソフトな物やコンパンドの違う物など色々テストしたところ多少改善されましたが、まだ納得いく走りにはなりませんでした。

これまでで気になった点は、路面変化に対してクルマの動きが大きく変わり過ぎてかなりシビアなセットが必要なのとレース路面になるとコーナーのクリッピングポイント付近でハイサイドしてしまう事です

この二点が上記の変更で多少は良くなりましたがこれではまだ、路面変化に対応するのが大変でした。

ここで誤解して欲しくないのは、ここまでの話はあくまでもシルバーストーンさんのような他に類を見ないような超ハイグリップサーキットでしかも気温が低い時期のレース路面での話です。ですから、他のサーキットやグリップが低いこれからの時期のシルバーストーンさんなら問題なく走ります。

おそらくCRC社もここまでグリップする路面を想定してシャーシを設計していないと思います。ならば、この恵まれた環境を活かし超ハイグリップ路面でも良く走るクルマを開発しどのような路面(サーキット)でも大きなセット変更せず走るオールマイティなクルマにしようと考え更なるテストを繰り返しました。


話は戻りコーナリングスピードが上がりリヤセクションに負担が掛ると書きましたが、そのコーナリングGによりリヤセクションが捩れコーナリング中の安定感が低下し挙動が不安定になったりリヤトラクション抜けがおきる事が解りました。

これは上記④の左バルクが小型になりボトムプレートが捻じれるのが原因です。

そこで、Gen-X用の左バルクに交換したところ安定感は増しました。しかしまだこれでは剛性が足りないとXLユーザーさんからのフィードバックにより、下の画像のようにモーターマウントを左右使いトッププレートを5点止め仕様でテストしたところ格段に良くなり、リヤがドッシリ安定するようになりました。

トッププレートは自作しました


これと同時にテストしたのが下の画像です。

これはJスペック用のボトムプレートを使いリヤアクスルを約3mm前に出した仕様です。これによりホイルベースが3mmショートになりGen-X比で1mmショートホイルベースになります。何故このような仕様をテストしたのかですが、リヤセクションの剛性アップにより曲がりが足りなくなったのをショートホイルベース化でそれを補い、なお且つハイグリップ路面でのトラクションのかかりを良くするのが狙いでした。

この目論見?は見事に当たりシルバーストーンさんのハイグリップ路面ではコーナー脱出スピードが上がり、ハイサイドする前にコーナーを抜けて行きます。コーナー進入から脱出までのステアリングとスロットル操作が上手くシンクロし早めにスロットルを握れる感じでした。

テスト結果が良かったため、4月に行われたシルバーストーンナイトレースで実戦テストすることにしました。参戦にあたりJスペック用のボトムプレートのままだとモーターがオフセットされたままになり左右の重量バランスが狂うので、元CRC JapanメンバーのS吉さんとご友人の方にボトムプレート・トッププレートを製作して頂き参戦することにしました。

 

↑3mmショートホイルベースのブラシレスモーター用プレート類です。


この日は練習から好調でレースでも好結果が予想されました。しかし、路面が上がるにつれまたもやハイサイドがおきレース路面(あまり路面は上がらなかった)ではラウンドを重ねる毎に調子が悪くなってしまいました。

レースで感じたのは、まだ路面変化に過敏なクルマだと。これでレポートその①終わりです。その②に続きます

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